放射能と甲状腺ガン

放射能と甲状腺ガン

甲状腺ガンは全てのガンの中で1%の割合を占めると言われて、年々増加傾向にあります。甲状腺がんと一言で言っても、いくつか種類があり、乳頭ガン、濾胞ガン、髄様ガン、未分化ガン、悪性リンパ腫に分けられ、それぞれ特徴が異なります。

 

中でも多いのが乳頭ガンで甲状腺ガンの約85%はこのガンです。乳頭ガンは40〜50歳代の比較的若い女性に多く発症します。ほとんど自覚症状はありません。ゆっくりと進行することが特徴で、数年経っても大きさが変わらないこともあります。近くのリンパ節に転移しやすいという特徴もありますが、甲状腺の周りのリンパ節の切除も含めた手術により取り除くことができるため、予後が良く、すっかり治ることも多いガンです。

 

次に多いのが濾胞ガンは、甲状腺ガンの約5~10%を占めます。乳頭ガンよりやや高齢の女性が発症することが多いです。このガンも乳頭ガンと同じく進行の遅いガンです。ただ、乳頭ガンとは違い、血液の流れに乗り遠くの臓器(肺、骨など)に転移することがあるのが特徴です。進行が遅いので、早期に甲状腺を取り除くことで予後が良好で治癒率の高いガンです。しかし、他の臓器に転移している場合には治癒率は下がります。乳頭ガン、濾胞ガンは合わせて分化型ガンと呼ばれ、悪性度が低く予後が良いガンです。

 

髄様ガンは甲状腺ガンの1~2%を占めるガンです。30代以降に発症することが多く、遺伝的に発症するものとそうではないものがあります。このガンは特殊でカルシトニンというカルシウム量を調節するホルモンを分泌する細胞がガン化することで発症します。分化型のガンより進行が早く、リンパ節や肝臓など臓器への転移がしやすい傾向にあります。分化型ガンよりは生存率が低いですが、早期の発見、治療により予後がよくなります。

 

甲状腺ガンは他のガンと比べると比較的予後が良いと言われますが、未分化ガンの場合には極めて予後が悪くなります。未分化ガンは稀なガンですが高齢者に発症することが多く、男女比の差はあまりありません。痛みや声のかすれなどの自覚症状を伴う場合があります。進行がとても早く、周りの臓器への浸潤、遠くの臓器への転移を起こしやすいガンです。治療は手術や放射線治療、薬物治療などが行われますが、10年生存率は極めて0に近い、悪性度の高いガンです。

 

最後に悪性リンパ腫ですが、このガンはリンパのガンが甲状腺に出来たもので橋本病に罹患している人が発症することの多いガンです。女性に発症することが多く、長年橋本病にかかっている高齢者に多くみられるガンです。甲状腺の腫れや声が出にくいなどの自覚症状が出ることがあります。悪性リンパ腫では放射線治療や薬物療法が行われますが、予後は個人差が大きいと言われています。

 

前述したように甲状腺ガンは大きく分けて5種類あり、それぞれ悪性度や治療法が異なります。甲状腺ガンでは自覚症状のみられないことも多いですが、しこりがみられますので、のどぼとけ付近のしこりを感じたらすぐに病院を受診しましょう。